全身の症状
- 熱がある(発熱) 3週間未満の急性の発熱では感染症(風邪や肺炎、胃腸炎、尿路感染症など)、3週間以上続く発熱は自己免疫疾患や悪性腫瘍などが疑われます。
- 元気がない(全身倦怠感) 主要な原因はうつ病(うつ状態)、薬剤の副作用、過労・過活動、長期の臥床などで、症状の持続が1か月以上で、やる気が出ない場合は心因性や精神疾患が疑われ、症状が1か月未満で、疲れやすい場合は代謝・内分泌疾患、感染症、悪性腫瘍などが疑われます。
- むくんでいる(浮腫) 浮腫は過剰な体液が細胞間質(細胞の外の部分)へ蓄積もしくは体液の分布異常で起こってきます。心不全やネフローゼ症候群などでは全身に浮腫がみられます。反対にリンパ管の閉塞や静脈の閉塞、蜂窩織炎などでは局所に浮腫がみられます。むくんでいる所を指で押して圧痕(あと)が残らない場合は甲状腺機能異常やリンパ性浮腫が疑われます。
- 体重が減った(やせ) 半年間で5%以上の体重が減る場合を体重減少といいます。頻度の高い病気は消化器の病気(胃潰瘍、吸収不良症候群など)で、次いで原因不明、消化器がん(胃がん、大腸がんなど)、内分泌疾患(甲状腺機能亢進症、糖尿病など)、精神疾患(うつ病など)、心臓や肺の病気の順です。
- 体重が増えた(肥満) 体重増加の大半は原因となる病気が明らかでない一次性肥満で、エネルギー摂取量と消費量の不均衡による体脂肪の蓄積により生じます。原因となる病気が明らかな二次性肥満は病気の治療を行うことによって肥満が改善します。週単位の急速な体重増加は、通常はむくみ、胸水、腹水などの水分貯留によるもので、心不全、腎不全、慢性肝臓病などが主な原因となります。
- 筋肉の震え(振戦) 振戦は高齢者に多くみられる症状で、原因は多岐にわたりますが、薬剤性であることが少なくありません。原因としては生理的振戦、本態性振戦、薬剤性振戦やパーキンソン病などが多いです。急に発症した場合には脳血管障害や炎症性疾患など重篤な病気が原因であることが多く、迅速な対応が必要となります。
- 歩行に障害がある(歩行障害) 歩行障害には末梢神経障害が原因でおこる鶏歩(つま先が上がらず、スリッパが脱げやすくなる)、パーキンソン病が原因でおこる小刻みな引きずり歩行、多発性硬化症や小脳疾患が原因でおこる失調性歩行(脚幅を広げ、足を高く上げず、両上肢を広げバランスをとる)、筋肉の病気(ミオパチー)が原因でおこる動揺性歩行(骨盤を水平に保てず、体を左右に揺すりながら歩く)、頚椎症性脊髄症などの脊髄の病気が原因でおこる痙性歩行(筋肉の緊張が亢進し、自然な屈伸が減少するため滑らかさを欠く歩行)などがあります。