おおたにクリニック

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MEDICAL

男性泌尿器科Male Urology

男性泌尿器科について

男性泌尿器科

男女共通の腎臓・尿路・副腎の病気に加え、前立腺、陰嚢・睾丸、陰茎などの男性生殖器の病気を中心に診療します。

男性は女性よりも尿道が長く、急性膀胱炎は起こしにくいのですが、加齢とともに前立腺の影響により尿道が閉塞するため尿の勢いが悪くなる特徴あります。男性特有の病気には、慢性前立腺炎、前立腺がん、勃起不全などがあります。

こんな症状ありませんか?
  • トイレが近い
  • 頻繁に夜中に起きてトイレに行く
  • 尿が漏れる
  • 排尿に勢いが無い
  • 尿が出にくい
  • 尿が出なくなった
  • 残尿感がある
  • 尿をしてもすっきりしない
  • 尿をするときに痛みがある
  • 尿をした後に痛みがある
  • 尿に血がまじる
  • 尿検査で陽性(尿潜血・たんぱく尿)を指摘された
  • 尿道や股間の奥(会陰部)に不快感がある
  • 膀胱炎が治らない(再発するなど)

症状と原因疾患

  • 日中のおしっこが近い(昼間頻尿)おしっこの量が多い多尿、おしっこの1回量が少なくなる膀胱機能障害(原因は膀胱の病気神経系の病気薬剤性心因性)、尿道が狭くなる病気(尿道狭窄前立腺肥大症(男性のみ)や骨盤臓器脱(女性のみ))や尿路感染症などが疑われます。
  • 夜間のおしっこが近い(夜間頻尿)夜間のおしっこの量が増える夜間多尿、夜間に目が覚める睡眠障害、おしっこの1回量が少なくなる膀胱機能障害(原因は膀胱の病気神経系の病気薬剤性心因性)、尿道が狭くなる病気(尿道狭窄前立腺肥大症(男性のみ)や骨盤臓器脱(女性のみ))や尿路感染症などが疑われます。
  • おしっこの勢いが悪い(尿勢低下)尿道が狭くなる尿道狭窄前立腺肥大症(男性のみ)や骨盤臓器脱(女性のみ)、おしっこを十分にためられない膀胱機能障害(膀胱炎間質性膀胱炎膀胱がん膀胱結石過活動膀胱神経系の病気薬剤性心因性)おっしこを出す力が低下する膀胱機能障害(低活動膀胱神経系の病気薬剤性心因性)などが疑われます。
  • 急に強い尿意がある(尿意切迫感)膀胱の刺激や活動が亢進する過活動膀胱膀胱がん前立腺肥大症尿路感染症尿路結石神経系の病気薬剤性心因性などが疑われます。
  • おしっこがもれる(尿失禁)尿失禁は4つに分類され、急に強い尿意がありおしっこがもれる切迫性尿失禁(原因は尿意切迫感を起こす病気と共通)、咳や運動中におしっこがもれる腹圧性尿失禁(原因は骨盤内臓器(膀胱や子宮など)を支える骨盤底筋の緩み、前立腺手術後)、トイレに移動する能力の低下や考える能力の低下(認知症)によりおしっこがもれる機能性尿失禁、複数の種類の尿失禁を持ち合わせた混合性尿失禁があります。
  • おしっこに血がまざる(血尿)腎臓の炎症による糸球体腎炎尿路性器腫瘍(がん)、尿路結石尿路感染症などがあります。
  • おしっこにタンパクがまじる(蛋白尿)尿路感染(膀胱炎など)、腎臓の病気(慢性糸球体腎炎糖尿病性腎症高血圧性腎硬化症など)、起立性蛋白尿などが疑われます。
  • おしっこがたまると痛みや不快感がある(蓄尿痛・膀胱痛)難病に指定されている間質性膀胱炎慢性前立腺炎慢性骨盤痛症候群などが疑われます。
  • おしっこをすると痛み(排尿痛)や残った感じがする(残尿感)膀胱や尿道の刺激や活動が亢進する過活動膀胱膀胱がん前立腺肥大症尿路感染症尿路結石神経系の病気尿道炎前立腺炎などが疑われます。
  • おなか・腰・背中に痛みがある(腰背部痛)細菌やウイルスなどの微生物が腎臓に感染した腎盂腎炎や尿管が閉塞し、尿の流れが悪くなる尿管結石尿管がん腎盂尿管移行部狭窄症尿管狭窄、腎臓の動脈の一部が詰まってしまうことで腎臓が壊死してしまう腎梗塞などが疑われます。
  • 陰部に痛みや腫れ、かゆみ等がある(成人)細菌、カビ(真菌)やウイルスなどの微生物が陰部に感染を起こした亀頭包皮炎(男性のみ)、精巣上体炎(男性のみ)、梅毒性器ヘルペス尖圭コンジローマ外陰カンジダ症疥癬、陰嚢内に水がたまっている陰嚢水腫(男性のみ)、陰のうやそけい菅内の蔓状(つるじょう)の静脈が異常にふくらんだ精索静脈瘤(男性のみ)、睾丸がねじれる精巣捻転(男性のみ)、睾丸が腫瘍化する精巣腫瘍(男性のみ)、抵抗力が落ちた時に出現する帯状疱疹などが疑われます。
  • 十分に勃起できない(勃起不全・ED、男性)動脈硬化によりペニスの血液の流れが悪くなる循環障害、糖尿病などによる勃起に関わる神経の機能障害、心の問題で勃起できなくなる心因性障害、薬の影響により勃起できなくなる薬剤性障害などが疑われます。
  • 精液を出せない(射精障害、男性)精液の通り道である射精管や尿道が炎症や薬により狭くなる射精管および尿道の閉塞、糖尿病や脊髄損傷による神経障害や手術などにより射精時に膀胱の出口が閉まらない逆行性射精などが疑われます。
  • 精液に血がまじる精巣、精巣上体、精嚢や前立腺を精路といいますが、精路の炎症(前立腺炎など)、精路の結石(前立腺結石など)、精路の腫瘍(前立腺がんなど)、精路の閉塞、精路の血管異常、精路の医原性疾患(放射線治療後など)、外傷(過度の性行為)などが原因として考えられます。
  • 男性更年期障害男性ホルモンの減少を原因として発症します。男性ホルモンが減少すると、性欲の減退、うつ症状、だるさなどの症状が出現します。ストレスが原因で男性ホルモンが減少することもあります。現在の日本は、ストレス社会で、男性更年期を発症しやすくなっていると考えられます。

男女共通の泌尿器科疾患分類

男女共通の泌尿器科疾患分類

  1. 尿閉:排尿ができないか、あるいは排尿後にも多量の残尿を有する状態を尿閉といいます。尿閉の原因には尿道が狭くなる尿道狭窄前立腺肥大症(男性のみ)や骨盤臓器脱(女性のみ)、おしっこを出す力が低下する膀胱機能障害(低活動膀胱神経系の病気薬剤性心因性)などが疑われます。まず尿閉なのか無尿(腎臓で尿が作られていない状態)なのかを判断することが大事です。
  2. 有熱性尿路感染症:急性腎盂腎炎、急性細菌性前立腺炎、急性精巣上体炎の項をご参照ください。
  3. 急性腎不全の項をご参照ください。
  4. 尿管結石の嵌頓:尿路結石症の項をご参照ください。
  5. 尿路性器外傷:
    1. 腎外傷:腎外傷は交通事故、転落、またはスポーツ外傷による鈍い力(鈍的外傷)によって発生します。銃で撃たれた傷や刺し傷など、腎臓を貫通する外傷(穿通性外傷)もあります。頻度は低いものの、腎生検などの診断検査中や腎結石に対する体外衝撃波砕石術などの様々な治療中に損傷が起きることがあります。腎臓の鈍的外傷のほとんどは軽微ですが、重篤になるものもあります。腎臓の重篤な鈍的外傷や穿通性外傷を治療しないでおくと、腎不全、高血圧、遅発性の出血、感染などの合併症が発生することがあります。腎臓の鈍的外傷の症状としては、上腹部や側腹部の痛み、血尿、肋骨下部の骨折による痛みなどがあります。腎臓の外傷が重度で、かなりの出血が生じれば、低血圧(ショック)や貧血が起こります。成人で症状が軽く、顕微鏡でしか血尿が見えない場合は、軽度の打撲である可能性が高く、そうであれば自然に治癒します。小児の場合や、より重篤な外傷が疑われる成人では、造影剤を用いるCT検査を行う必要があります。
    2. 尿管外傷:尿管外傷のほとんどは、子宮や大腸の摘出手術、帝王切開による出産、腹部大動脈瘤の修復などの骨盤部または腹部の手術中や尿管鏡による尿管の検査中に起こります。まれな尿管損傷の原因として、銃で撃たれた傷や刺し傷による穿通があります。まれに鈍的外傷によって、尿管の上部が腎臓からちぎれてしまうことがあります。尿管損傷を治療しないでおくと、瘻孔(他の腹部臓器に通じる異常な通路)の形成、膿の蓄積(膿瘍)、尿管の狭まり(狭窄)、尿の流れの閉塞、尿の持続的な漏出や尿路感染などの合併症が発生することがあります。症状として腹部や側腹部の痛み、傷から尿が漏れ出すこともあります。持続的な尿の漏出による感染によって、発熱がみられることもあります。血尿がみられることもあります。前述のような症状の原因として尿管の損傷であるケースは少ないため、尿管の外傷は迅速に認識されないことがあります。上記のような症状のみられる人が最近手術を受けているか、腹部を貫通する外傷を負っている場合などに尿管外傷を疑います。
    3. 膀胱外傷:膀胱外傷は、高速での交通事故や転落事故で生じるような、しばしば骨盤部の外傷に伴って発生します。まれに穿通性外傷(貫通する外傷で、銃弾によるものが多い)で膀胱が損傷する場合もあります。さらに、子宮摘出術、帝王切開、結腸切除術などの骨盤部や下腹部の手術中に偶発的に膀胱が傷つけられる場合もあります。膀胱の外傷を迅速に治療しないと、頻尿、尿意切迫感、尿失禁、血尿、膀胱と皮膚または内臓をつなぐ異常な経路(瘻孔)、尿路から周囲の組織への尿の漏出、感染などの合併症が発生する可能性があります。症状としては、血尿、排尿困難、骨盤部や下腹部の痛みが最もよくみられます。膀胱の底部には排尿をコントロールする筋肉があり、そこが損傷すると、頻尿や尿失禁が起こることがあります。
    4. 尿道外傷:尿道外傷の大半は男性に発生します。一般的な原因としては、骨盤骨折や、何かにまたがった際に起こる騎乗型損傷などがあります。また、尿道に対する外科的な処置中や、膀胱カテーテルの挿入や膀胱鏡検査など、尿道に器具を挿入して行う処置中に偶発的に尿道損傷が発生することがあります。まれに、患者が異物を直接尿道に挿入して自ら尿道損傷を招くケースもあります。尿道の損傷は挫傷(あざ)にとどまる場合もあります。一方、尿道の損傷によって尿道の内壁が裂け、陰茎、陰嚢、腹壁、会陰部(肛門と外陰部または陰嚢の間の部分)などの組織に尿が漏れ出ることもあります。尿道外傷で起こりうる合併症としては、感染症、出血、永久的な尿道の狭窄、勃起障害、尿失禁などです。
    5. 陰茎外傷(男性のみ):陰茎の外傷にはいくつかのタイプがあります。陰茎が部分的または全体的に切断されることがあり、切断された陰茎は、ときに接合が可能ですが、感覚や機能がどの程度まで回復するかは様々です。勃起を増強するために使用される陰茎リングは、陰茎を強く締めつけて永続的な損傷を起こすことがあります。動物の咬み傷や銃創などの穿通性外傷は、あまり多くはありませんが、尿道損傷をしていることがあります。陰茎と尿道の外傷を治療するには、手術が必要になることもあります。激しい性交中にパートナーの骨盤との間で陰茎に無理な力がかかり、陰茎が折れることがあります。これを陰茎切症といいます。陰茎が「折れる」と表現しますが、
    6. 実際には、陰茎内に2本ある管状の構造物(陰茎海綿体と呼ばれ、多量の血液で充血して勃起を維持しています)の片方において、それを覆っている膜に裂傷が生じた状態です。受傷後は直ちに痛み、腫れ、変色が生じ、陰茎が変形して見えます。陰茎の異常な屈曲や永続的な勃起障害を予防するため、通常は折れた部分の修復手術を迅速に行う必要があります。
    7. 陰嚢・精巣外傷:陰嚢は外傷を受けやすい位置にあります。鈍い力(足でけられる、何かに打ち付けるなど)による損傷が大半を占めますが、ときに銃弾や刃物が陰嚢や精巣を貫通することもあります。精巣外傷では、激しい痛みが突然現れ、しばしば吐き気や嘔吐もみられます。超音波検査で、精巣の破裂の有無を診断します。精巣が破裂している場合は、手術で修復します。精巣が損傷すると、男性ホルモンや精子を作る能力が失われることがあります。両側の精巣が損傷した場合には、男性ホルモンの補充が必要になる可能性があり、片側だけが損傷している場合は、男性ホルモンの補充は通常、必要ありません。
  6. 腎梗塞:腎臓の動脈の一部が詰まってしまうことで腎臓が壊死してしまう病気です。代表的な症状は突然に起こる脇腹や背中の激しい痛み、吐き気などです。血尿や発熱も起こることがあります。腎臓の血管が詰まる原因として最も多いのは、心臓の内部に血栓ができる心房細動や感染性心内膜炎という心臓の病気です。

尿路感染症

尿道から細菌やウイルスなどの微生物が入って膀胱や腎臓に炎症が起こる病気です。急性膀胱炎では頻尿や尿意切迫感、排尿痛などがみられますが、腎臓に炎症が起こる急性腎盂腎炎では膀胱炎症状に加え、発熱や背部の痛み、吐き気などの症状がみられます。糖尿病の人や高齢者では無症状のこともあります。

尿路結石症

尿路結石とは尿の中に含まれている物質が腎臓の中で結晶をつくり、それが蛋白質などの有機物質と結合し、固まったもので、腎臓から離れて尿管・膀胱・尿道へと移動し、移動した場所により腎結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石と名付けられています。腎結石の症状は、腰や横腹の痛み、血尿などですが、無症状のことが多いのが特徴です。尿管結石の症状は、背中からわき腹にかけて刺すような激痛・吐き気・嘔吐・冷や汗を伴う疝痛発作と血尿です。膀胱結石や尿道結石の症状は排尿時痛・頻尿・残尿感・血尿・排尿困難などです。尿路結石の原因は、生活習慣の乱れや生活習慣病、高尿酸血症・痛風、副甲状腺機能亢進症(カルシウムの代謝に関わる副甲状腺ホルモンの産生過剰)、尿路感染症、高シュウ酸尿症(結石の主成分の一つであるシュウ酸が尿中へ多く排泄される状態)、高カルシウム尿症(結石の主成分の一つであるカルシウムが尿中へ多く排泄される状態)、長期臥床などがあります。結石の再発率がとても高く、半分の人が再発します。再発を予防するため、命に係わる脳卒中や心血管系イベントを予防するために結石の原因となっている病気の治療が重要となります。

尿路性器腫瘍

  1. 尿路上皮がん(尿道がん、膀胱がん、尿管がん、腎盂がん):尿路上皮がんとは、腎盂、尿管、膀胱、尿道の内側を覆う尿路上皮という粘膜ががん化する病気で、がんのある場所により腎盂がん、尿管がん、膀胱がん、尿道がんと名付けられています。がん細胞は尿の流れとともに移動するため、尿路上皮がんが腎盂や尿管で発生すると、同時又は将来的に膀胱がんが発生しやすい特徴があります。尿路上皮がんの約95%が膀胱がんで、痛みを伴わない肉眼的血尿(見た目に真っ赤なおしっこ)が出た時には要注意です。
  2. 腎細胞がん:腎臓には尿を作る「尿細管」という細い管があり、腎細胞がんは尿細管の中にできたがんです。腎細胞がんの早期はほとんど無症状で、健診の普及、超音波検査やCT検査など画像診断の進歩により、人間ドックなどや他の病気で検査を受けた際に偶然に発見されることが多くなり、症状のない小さな腎細胞がんが増えています。
  3. 腎血管筋脂肪腫:血管、筋肉、脂肪の成分を含む良性腫瘍で、破裂のリスクかがあるときに治療対象となります。

副腎腫瘍・二次性高血圧

  1. 原発性アルドステロン症:アルドステロンは副腎皮質で作られるホルモンで、腎臓で尿中のナトリウムを再吸収し、尿へカリウムを排出することによって血圧を上昇させる働きをします。原発性アルドステロン症は、このアルドステロンを過剰に作る腫瘍が副腎に発生し、高血圧、低カリウム血症による脱力などをきたす病気です。全高血圧患者さんの5~10%程度にこの病気が存在します。
  2. クッシング症候群:副腎皮質で作られるコルチゾールというホルモンを過剰に作る腫瘍が副腎に発生し、クッシング徴候と呼ばれる中心性肥満や満月様顔貌などが認められ、高血圧や耐糖能異常を伴う病気です。
  3. 褐色細胞腫:副腎髄質または傍神経節組織に腫瘍があり、カテコラミン(カテコラミンの一つであるアドレナリンは有名ですが)というホルモンが過剰に作られ、発作的にまたは持続的に血圧が上昇する病気です。
  4. 腎血管性高血圧:腎臓へ流れる動脈が狭くなり、血圧を調整するホルモンの分泌異常が起こり、血圧が上昇する病気で、すべての高血圧患者さんの1%程度にこの病気が存在します。

腎不全

  1. 急性腎不全:急性腎不全では、血液をろ過して老廃物を除去する腎臓の能力が急速に(数日から数週間のうちに)低下します。その原因として、腎臓への血液の供給量が減少する病気、腎臓自体を侵す病気や有害物質(毒素)、または尿路のどこかで尿の流れが妨げられる病気などが考えられます。多くの場合、原因は特定することができません。症状としては、むくみ、吐き気、疲労、かゆみ、呼吸困難などのほか、急性腎不全を引き起こしている病気の症状もみられます。診断は、血液検査、尿検査、画像検査の結果で行われます。治療には、急性腎不全の原因となっている病気に対する治療と透析(必要時)が行われます。
  2. 慢性腎不全:慢性腎不全では、血液をろ過して老廃物を除去する腎臓の能力がゆっくり低下します。主な原因は糖尿病と高血圧です。血液の酸性度が高くなり、貧血が起き、神経が傷つき、骨の組織が劣化し、動脈硬化のリスクが高くなります。症状としては、夜間頻尿、疲労、吐き気、かゆみ、筋肉のひきつりやけいれん、感覚の消失、錯乱、呼吸困難、皮膚の黄褐色への変色などがあります。診断は、血液検査と尿検査で行います。治療は、食事に含まれる水分、ナトリウム、カリウムの摂取を制限するよう努めつつ、慢性腎不全の原因となる病気(糖尿病、高血圧、貧血、電解質平衡異常など)への対応として薬剤を使用し、必要に応じて透析や腎移植も行います。

糸球体腎炎

  1. IgA腎症:世界で最も多い腎炎で、特に日本を含む東アジアに多いとされます。血尿や蛋白尿がでます。未治療の場合、約4割の方が腎臓の機能が悪化し、透析に至ってしまう予後不良の病気で、「指定難病」の一つになっています。その原因は未だ不明です。診断には腎臓に針を刺す「腎生検」という検査が必須です。腎臓の「糸球体」という場所に、抗体の一種であるIgA(免疫グロブリンA)の沈着が確認されます。
  2. 急性糸球体腎炎:A群β溶連菌感染による扁桃炎などが治ってから10日前後経って発症する一過性の腎炎(糸球体の炎症)です。主な症状は顔面・まぶた・足のむくみ、肉眼的血尿(褐色・コーラ色)、尿量低下、高血圧などです。小児~若年者に多くみられます。高度な血尿と蛋白尿をきたし、時に急激な腎機能低下を認めます。免疫物質である補体の低下や溶連菌感染を示すASO・ASK抗体価の上昇を認めます。診断は症状と検査所見で行いますが、他の腎炎との鑑別のために腎生検をすることもあります。尿量減少、浮腫、高血圧に対しては安静と塩分・水分制限を行い、一時的に利尿薬・降圧薬の投与を行うこともあります。時間の経過にともない血尿、蛋白尿、腎機能は自然に改善する予後良好な病気ですが、時に腎機能障害が残ることもあります。
  3. 急速進行性腎炎:腎臓の働きが週から月の単位で悪くなっていく場合に急速進行性と呼びます。主な症状は、全身倦怠感、持続する発熱や体重減少などです。血尿や蛋白尿、進行性の腎機能障害により診断されます。腎生検で、多くの場合は強い炎症のために糸球体の毛細血管が破れ、半月体と呼ばれる細胞の増殖像や、壊死などが認められ、壊死性半月体形成性腎炎とも呼びます。原因となる病気は腎臓のみに炎症を起こすものと全身の炎症の一部として腎臓を侵すものがありますが、最も頻度が高いのは、全身の微細な血管の炎症をきたす「顕微鏡的多発血管炎」といわれる病気です。原因が何であっても、放置すると透析を必要とする腎不全に急速に陥るため、上記の症状などがあれば医療機関をすぐに受診していただき、診断がつけば、専門医のもとでステロイド薬などの免疫抑制療法を早急に始めることが必要です。
  4. 微小変化型ネフローゼ症候群:腎生検で糸球体にほとんど変化がないことから微小変化型といわれています。微小変化型ネフローゼ症候群の特徴として、若年者に多く、発症が急激ですが、ステロイド治療に反応が良好です。発症の詳しいメカニズムはわかっていませんが、花粉症、喘息、アトピー性皮膚炎などアレルギーのある方に比較的多くみられます。急にたくさんの蛋白が腎臓から漏れ出るため、血管内は脱水になりやすく、腎臓の働きが急激に悪くなり、一時的に尿量が減少します。高用量のステロイド治療により約2週間程度で蛋白尿は消失しますが、ステロイドを減量すると約半数近くに再発がみられます。再発を防止するために免疫抑制薬や分子標的治療薬の併用が行われることもあります。
  5. 膜性腎症:腎臓で尿を作る際のろ過装置である糸球体の成分に対する抗体ができるために、ろ過装置が壊れて蛋白が尿に漏れてしまうタイプの腎炎が膜性腎症です。膜性腎症の約7割は、大量の蛋白を尿中に失い、全身にむくみが出る状態(ネフローゼ症候群)になります。10年で10%、20年で40%が慢性腎不全になるという報告があります。とくに蛋白尿が多い場合は腎機能が低下しやすいことがわかっています。治療には、腎保護作用のある降圧薬に加え、ステロイドや免疫抑制薬が使われます。適切な治療を受ければ、約7割で蛋白尿が消失します。
  6. 膜性増殖性糸球体腎炎:腎臓の糸球体の基底膜が厚くなるとともに、メサンギウム細胞の数が増えるために、糸球体が分かれた葉っぱのように見える(糸球体の分葉化と言われています)比較的稀な糸球体腎炎です。診断には腎生検が必要となります。小児から若年者におこることが多く、原因として免疫物質である補体活性の調節異常が多く、補体の異常によるものはC3腎症と呼ばれています。成人におこる膜性増殖性糸球体腎炎の半数以上は、C型肝炎患者などに見られる二次的なものです。リンパ腫や膠原病など様々な病気に合併しておこることも知られています。治療は、副腎皮質ステロイド、メチルプレドニゾロンパルス療法、ステロイドと免疫抑制薬の併用療法などが試みられています。
  7. 巣状糸球体硬化症:尿へ大量の蛋白が漏れ、血液中の蛋白が減って全身がむくむ「ネフローゼ症候群」の原因となる病気の一つで、腎生検で診断されます。発症からの経過・症状は微小変化型ネフローゼ症候群によく似ていますが、ステロイドの効きが悪い場合がしばしばあり、腎機能が進行性に悪化することがあります。典型的なネフローゼ症候群を発症する原発性(一次性)の巣状分節性糸球体硬化症の他、肥満関連腎症、膀胱から尿が逆流することによって起こる逆流性腎症など、形態としては同じような変化が観察される続発性(二次性)巣状分節性糸球体硬化症もあり、治療法がそれぞれ異なります。原発性の場合は、ステロイドや免疫抑制薬による治療が主となり、降圧薬・抗血小板薬・脂質異常症改善薬などの薬剤も治療に用いられます。

ネフローゼ症候群

ネフローゼ症候群は、尿中に大量のタンパクが排泄される、糸球体(小さな穴がたくさん開いた微細な血管でできた球状の腎組織で、それらの穴を通して血液がろ過されます)の病気です。タンパクの過剰な排泄により、体内への水分の蓄積(浮腫)をきたすとともに、アルブミンと呼ばれるタンパクの血液中の濃度が低下し、コレステロールの血液中の濃度が上昇します。症状としては疲労やむくみなどがあります。診断は、血液検査と尿検査、ときに腎臓の画像検査や生検の結果に基づいて行います。原因には、腎臓自体で発生するもの(原発性)と、他の様々な病気によって引き起こされる続発性のものがあります。原因として多い病気は、糖尿病、全身性エリテマトーデス、特定のウイルス感染症などです。また腎炎や腎臓に対して毒性を示すいくつかの薬もネフローゼ症候群を引き起こす可能性があり、特に非ステロイド系抗炎症薬が重要です。虫刺されやウルシ科の植物に対するアレルギーなど、一部のアレルギー反応が原因になることもあります。治療はネフローゼ症候群の原因となる病気の治療、ナトリウム摂取量の制限、利尿薬とスタチン系薬剤(高コレステロールの治療薬)の使用などです。

慢性腎臓病

腎臓の働きが低下し、蛋白尿が出るようになった状態が3か月以上続くと慢性腎臓病と診断されます。症状が出にくく、症状が出た場合は透析などが必要になることもあります。主な症状は、血尿や夜間頻尿、体のだるさ、貧血、息切れ、むくみなどです。慢性腎臓病のリスクが高い人は、高血圧(高血圧性腎硬化症)や糖尿病(糖尿病性腎症)などの生活習慣病がある人、尿酸の高い人(痛風腎)、ご高齢の人、ご家族に腎臓病患者さんがいる人、生活習慣が乱れた人などです。

非特異的感染症

  1. 帯状疱疹:子供のころに水痘(水ぼうそう)として感染した水痘帯状疱疹ウイルスが知覚神経節に潜伏感染し、数年から数十年の長期間を経て帯状疱疹として再発します。著しい痛みを伴うむくんだ赤い発疹、水ほうが神経の走行に一致して体の片側に生じます。発生する場所により眼球や顔面神経麻痺、排尿困難などの合併症を伴うことがあります。疲れやストレス、かぜ、加齢など抵抗力が弱ることによって症状が出てきます。水痘に感染したことがある人には感染しませんが、感染したことのない小児などには水痘として感染することがあります。痛みが慢性的に残る場合があり、帯状疱疹後神経痛と呼ばれ、制御困難になる場合もあり、痛みが強い時にはしっかり除痛することが大切になります。
  2. 外陰カンジダ症:常在菌のひとつで、真菌(カビ)の一種であるカンジダが異常増殖することによって、外陰部の皮膚に症状を来す病気です。原因は、糖尿病、免疫抑制薬や副腎皮質ステロイド薬使用による免疫力の低下、抗生剤投与などによる菌交代現象(抗生剤は真菌に無効)、ホルモン環境の変化(妊娠、ピル内服など)などで、口腔、肛門部、尿路からの自己感染や性交感染も起こることがあります。症状は、激しいかゆみ、外陰部の発赤、腫れ、白色のチーズ状・酒粕(かす)状の分泌物の増加などがみられます。
  3. 疥癬:ヒト疥癬虫による感染症で、疥癬虫が皮膚の角質層内に寄生することによって発症し、外陰部、下腹部や指の間などの皮膚の軟らかい部分によく発生します。疥癬虫は皮膚の角質内でトンネルを掘って産卵します。寝具などを通して感染し、集団で発症することが少なくありません。紅色~暗赤色の小結節(丘疹)が多発し、激しいかゆみを生じ、かき壊してしまうことが多く、細菌による二次感染も併発してきます。

性感染症

  1. 梅毒:主に性行為を介して、梅毒トレポネーマに感染する病気です。稀ではありますが、胎盤を介して母体から子供に感染する母子感染や針刺しなどの医療行為を介して感染することもあります。感染すると侵入部位だけでなく全身に拡大します。2003年までは順調に減少していましたが、2004年から年々増加し、最近は急増傾向です。梅毒は早期と晩期に分けられ、早期はさらに第1期と第2期、晩期は第3期と第4期に分けられます。第1期は侵入部位である性器や唇・口腔内にできる初期硬結(硬い丘疹)や硬性下疳(初期硬結の中央部がびらん・潰瘍化)、痛みを伴わないリンパ節の腫脹がみられます。治療をしなくても3週間ほどで症状は消失します。第2期は感染から3か月ほど経ってから現れ、梅毒トレポネーマが血行性に全身に散布され、バラ疹(体幹・上肢内側などに生じる淡い紅斑(発赤))、丘疹性梅毒疹(手のひらや足の裏に乾癬に似た皮疹ができる)、扁平コンジローマ(肛門、陰部、口角、脇の下にみられる軟らかい平たく隆起した丘疹)、全身のリンパ節腫脹などがみられます。第3期は感染後3年ほど経過してから現れます。結節性梅毒疹(四肢、体幹、顔面に見られる結節)やゴム腫(皮下組織に達する噴火口状の深い潰瘍)がみられますが、現代では梅毒以外の理由で抗菌薬を使用されていることが多く、遭遇することは稀です。第4期は感染後10年して出現し、大動脈瘤や大動脈炎といった心血管病変、脊髄癆や進行性麻痺といった神経系病変を引き起こしますが、現代では稀です。
  2. 性器ヘルペス:性行為により単純ヘルペスウイルスが性器や性器付近の皮膚や粘膜に感染し、浅い潰瘍や水疱性病変ができる病気です。かゆみや痛みを伴います。治療は抗ウイルス薬を使用します。
  3. 尖圭コンジローマ:ヒト乳頭状ウイルス感染による疣贅状病変(いぼ)を起こす病気です。病気がよくみられる場所は、男性では亀頭、冠状溝や包皮に、女性では大陰唇から小陰唇にかけての外陰部、男女共通の部位は口腔内や肛門周囲などです。治療はレーザー蒸散、電気焼灼、イミキモドクリームの塗布などを行います。

その他

  1. 慢性骨盤痛症候群:炎症がなくても排尿痛、下腹部、性器、会陰部(陰嚢と肛門の間)に鈍痛や重苦しい感じを自覚する病気です。明らかな原因は不明ですが、骨盤底筋の過緊張、血行不良、ストレスなどが影響していることがあります。
  2. ナットクラッカー症候群:腎臓の静脈が腹部大動脈と上腸間膜動脈(腸を栄養する血管)の間に挟まれ、血液の流れが悪くなり、血尿をきたす病気です。
  3. 腎嚢胞:腎臓に水の袋ができる病気で、大きくならない限りは無症状です。多発する場合は腎機能障害が進み、透析になったりする遺伝性の病気であることがあります。また、形がいびつなものや嚢胞の中に出血が認められるときにがんが見つかることがあります。
  4. 尿細管・間質性腎炎:微生物の感染や薬(鎮痛剤、抗生剤、利尿剤、抗がん剤など)の影響により腎臓の尿を作る場所である尿細管や間質が炎症を起こし、腎臓の機能が低下する病気です。排尿障害、高尿酸血症や膠原病の人に起こることがあります。

下部尿路症状(排尿障害)をきたす疾患

  1. 膀胱の病気
    1. 膀胱炎:尿道から細菌やウイルスなどの微生物が侵入して、膀胱の上皮(粘膜)に炎症が起こる病気です。頻尿や尿意切迫感、排尿痛などがみられますが、糖尿病の人や高齢者では無症状のこともあります。
    2. 間質性膀胱炎:尿が膀胱の間質(上皮と筋肉の間の組織)にしみこんで慢性的に炎症を起こし、進行すると膀胱が縮んでいく病気です。膀胱炎や過活動膀胱などにみられる頻尿や尿意切迫感に加え、膀胱痛(蓄尿痛)などがみられることがあります。中高年の女性に多く発症し、難病に指定されています。
    3. 膀胱がん:膀胱にできるがんで、痛みを伴わない肉眼的血尿(見た目に真っ赤なおしっこ)が出た時には要注意です。時に頻尿、排尿時痛や残尿感など膀胱炎や過活動膀胱と似た症状がみられます。
    4. 膀胱結石:膀胱内に結石ができる病気で、膀胱の働きが悪くなる低活動膀胱や尿道が狭くなる病気の人、糖尿病などの感染に対する抵抗力が落ちている人に起こしやすい病気です。頻尿の他に、血尿や排尿痛が出ることがあります。
    5. 膀胱憩室:尿道が狭くなる病気のために膀胱に過剰な圧力がかかり、膀胱の壁の薄いところが瘤のように膨らんだ病気で、慢性の尿路感染が起こり、結石やがんができたりします。
    6. 過活動膀胱:膀胱が自分の意志と関係なく勝手に縮んだり、過敏な働きをするために、尿が充分にたまっていないうちに急に我慢できない尿意が起きる病気です。主要症状は尿意切迫感で、頻尿や尿失禁を伴うこともあります。原因は、加齢による膀胱機能の低下、膀胱や尿道を支えている骨盤底筋のゆるみ、脳卒中の後遺症、前立腺肥大症(男性のみ)、生活習慣病など多岐にわたります。
    7. 排尿筋低活動・低活動膀胱:生活習慣病、神経系の病気や尿道が狭くなる病気(下部尿路の閉塞)などにより尿意が低下したり、排尿筋(膀胱の筋肉)の収縮力が低下した状態を排尿筋低活動・低活動膀胱といいます。心臓の機能低下は心不全と呼ばれていますが、低活動膀胱とは膀胱機能が低下した膀胱不全の状態になります。
    8. 膀胱頚部閉塞:膀胱の出口(膀胱と尿道の移行部分)が狭くなっている病気で、頻尿や排尿困難などの症状がみられます。
    9. その他:膀胱の加齢・血流障害、自律神経系の活動亢進
  2. 尿道の病気
    1. 尿道狭窄:尿道の壁が細菌などの感染による炎症のため厚くなり、尿道が狭くなる病気です。症状は排尿困難(尿の勢いの低下や排尿時間の延長)や頻尿などです。
    2. 尿道憩室:尿道の壁が瘤のように膨らんだ病気で、排尿困難、尿失禁、排尿痛や排尿後滴下などの症状がみられます。
  3. 神経系の病気:神経の病気により膀胱の感覚(尿意)や運動(排尿)をコントロールする神経が障害を受けるために、膀胱の働きが障害される状態(膀胱の活動が低下する低活動膀胱や膀胱の活動が亢進する過活動膀胱になる)を神経因性膀胱といいます。以下のような病気が神経因性膀胱の原因となります。
    1. 脳の病気:脳血管障害(脳梗塞後遺症)、認知症、パーキンソン病、多系統萎縮症、正常圧水頭症、進行性核上性麻痺、大脳白質病変など
    2. 脊髄の病気:脊髄損傷、多発性硬化症、脊髄腫瘍、脊椎変性疾患(脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニア)、脊椎圧迫骨折、脊髄血管障害など
    3. (末梢)神経の病気:糖尿病(糖尿病性神経因性膀胱)や骨盤内臓器手術後(前立腺、子宮や直腸の手術後)
  4. 生活習慣病など動脈硬化を起こす病気:膀胱や尿道の血流障害により膀胱や尿道の働きが悪くなり、頻尿や尿意切迫感などの蓄尿症状や尿勢低下などの排出症状などの症状が出現ます。
    1. 糖尿病、高血圧、脂質異常症、高尿酸血症(痛風)、メタボリックシンドローム、肥満、喫煙など
  5. その他の病気
    1. 薬剤性
      1. 蓄尿症状(頻尿など)を起こす可能性のある薬剤:降圧薬(利尿剤、カルシウム拮抗薬)、抗不安薬、アレルギーの薬、認知症治療薬、狭心症治療薬、筋弛緩薬、コリン作動薬、前立腺肥大症治療薬など
      2. 排尿症状(尿勢低下など)を起こす可能性ある薬剤:総合感冒薬、アレルギーの薬、鎮痛薬、筋弛緩薬、消化性潰瘍治療薬、抗不整脈薬、抗精神病薬、抗不安薬、抗うつ薬、めまい治療薬、気管支拡張薬、パーキンソン病治療薬、抗がん剤、低血圧治療薬、抗肥満薬、過活動膀胱治療薬など
  6. 多尿:習慣性多飲、心因性多飲、尿崩症、糖尿病の人は、尿量が多くなり、頻尿となります。
    1. 習慣性多飲:誤った習慣で水分を摂りすぎている状態(例えば脱水予防、脳梗塞予防や健康のために過度に飲水をしている状態)のことです。適正水分摂取量は体重の2%(体重60㎏の人で1,200ml)といわれています。
    2. 心因性多飲:精神的な問題が原因で、水分を摂りすぎている状態のことです。
    3. 尿崩症:抗利尿ホルモンの働きの異常で、大量の尿が排泄される病気を指します。尿崩症は原因に応じて、中枢性尿崩症と腎性尿崩症の2つに分類されます。さまざまな病気や薬剤などが原因となりえます。尿崩症を発症すると、多尿や体内の水分不足からどの乾きを感じるといった症状が現れます。
  7. 夜間多尿:尿を濃縮し、夜間の尿の生成を抑える抗利尿ホルモンの働きが悪い人、生活習慣病(高血圧や糖尿病)の人、慢性腎臓病、心不全や睡眠時無呼吸症候群などの人は夜間の尿量が多くなり、夜間頻尿となります。夜間多尿は夜間頻尿の最大の原因で、夜間頻尿の患者さんの約70%に夜間多尿がみられます。
  8. 睡眠障害:不眠症、睡眠時無呼吸症候群、レストレスレッグス症候群などの睡眠障害は眠りが浅いために、通常では目が覚めないような尿意でも目が覚めてしまい、夜間頻尿となることがあります。睡眠障害が原因の夜間頻尿はまれです。
  9. 心因性
    1. 心因性頻尿(神経性頻尿):精神的な問題が原因で、頻尿や尿意切迫感が起こる病気です。
    2. うつ病
    3. 神経症
    4. 心身症

男性泌尿器科疾患分類Male Urology

前立腺の病気

  1. 前立腺肥大症:前立腺は膀胱の下にあり、尿道を取り巻くようにあります。一般的に50歳を過ぎると、男性ホルモンや炎症などの影響で大きくなったり、前立腺の筋肉が過剰に縮まって尿道が圧迫されることで、尿の出が悪くなったり、頻尿や残尿感などの症状がみられます。このような状態を前立腺肥大症と言います。
  2. 前立腺がん:前立腺肥大と異なり、主に前立腺の外側に生じ、進行するまでは症状がみられないことが多いです。他のがんと異なり、血液検査(PSA検査)でがんの可能性を調べることができます。内分泌治療(男性ホルモンの働きを抑える治療)、放射線治療や手術治療など多くの治療選択肢があり、どの治療を受けても、転移さえなければ10年生存率100%と他のがんよりもおとなしいのも特徴的です。
  3. 前立腺炎:好発年齢は20~40歳代で、細菌が原因となるものとそうでないものに大きく分けられ、細菌性のものはさらに急性と慢性の2種類に分けられます。病原体としては大腸菌やブドウ球菌などが大部分です。
    1. 急性細菌性前立腺炎:突然の発熱や寒気とともに排尿痛や頻尿などの症状がみられます。
    2. 慢性細菌性前立腺炎:急性と異なり、発熱はなく、排尿痛も軽度ですが、頻尿、下腹部や会陰部(陰嚢と肛門の間)に鈍痛や重苦しい感じが認められます。
    3. 非細菌性前立腺炎:炎症はあります(尿の中に白血球は認められる)が、細菌が認められない状態で、細菌より小さい病原体であるクラミジアやマイコプラズマなどの感染の可能性もあります。症状は他の前立腺炎と同様に、排尿痛や頻尿がみられます。

陰嚢の病気

  1. 精巣腫瘍:精巣腫瘍は青壮年期の男性に多く、通常痛みを伴いません。停留睾丸(精巣)や、性分化異常などが発生に関連していると考えられていますが、原因ははっきりしていません。一般的に悪性で、転移しやすく、放置すると死に至ります。腫瘍マーカーと呼ばれる血液学的な指標と超音波検査が診断に有効です。腫瘍と診断されれば、できる限り早く(可能ならその日のうちに)精巣を摘除し、病理学的に組織型を判定します。さらに、全身の画像検査によって、転移の検索を行います。組織型にもよりますが、一般的には転移が見つかれば化学療法(抗がん剤治療)や放射線療法を行います。転移があっても、適切な治療を受ければ多くは完治します。
  2. 陰嚢水腫:陰嚢水腫は陰嚢内(睾丸の周り)に水が溜まる病気です。小児の一部を除いて、多くの場合原因不明です。完全に治すためには約1週間程度の入院による手術が必要ですが、針穿刺によって内溶液を吸引したり、吸引後に薬剤を注入して固定するなどの一時的な治療法もあリます。基本的には悪性の病気ではありません。超音波検査によって簡単に診断がつきます。
  3. 急性精巣上体炎:精巣につながる精巣上体が細菌感染などで炎症を起こす状態です。細菌は尿道から侵入することが多いため、頻尿や排尿痛をともなったり、尿検査で異常が認められることがあります。炎症が強いと発熱や血液検査での異常も認められます。抗菌薬の内服または点滴で治療を行います。また、繰り返して発症する場合には尿道の異常などについて検査が必要です。
  4. 精索静脈瘤:精索静脈瘤は、陰のうや鼠径(そけい)菅内の蔓状(つるじょう)の静脈が異常にふくらんだ状態です。息をこらえてお腹に力を入れたときに触ることができる軽度のもの(グレード I)から、簡単な触診だけでわかるもの(グレード II)、さらには目で見て明らかなもの(グレード III)まで程度はさまざまです。患側は左が90%、両側性が2-10%で、右はまれです。精索静脈瘤の一番大きい問題点は、造精機能(精子を作り出す働き)さらには不妊症との関連です。成人での手術では不妊症に対して効果があることが示されています。

男性医療

  1. 男性更年期障害(LOH症候群):男性更年期障害は男性ホルモンの減少を原因として発症します。男性ホルモンは睾丸の精巣と副腎でつくられ、筋肉や骨格をつくったり、脂質、糖代謝を促進したり、性機能を維持したりする役割のほか、脳の認知機能、心理機能にもかかわっていると考えられています。そのため、男性ホルモンが減少すると性欲や認知機能、心理機能が著しい影響を受けるようになり、性欲の減退、うつ症状、だるさなどの症状が出現します。男性ホルモンの減少は加齢に伴うものだけではなく、ストレスが原因になることもあります。現在の日本は、ストレス社会といわれていますが、男性更年期を発症しやすくなっていると考えられています。更年期障害とは女性特有のものと捉えられていた時期もありましたが、近年では男性にも生じることが広く社会に認知されるようになってきました。
  2. 勃起不全:勃起不全とは、満足に性行為を行うのに十分な勃起が得られないか、維持できない状態が、少なくとも3か月間持続する病気です。外傷や手術などによる勃起能の低下は3か月以前に診断されます。勃起不全のリスク因子は喫煙、生活習慣病(高血圧、糖尿病、脂質異常症)、肥満と運動不足、うつ症状、排尿障害、慢性腎臓病、睡眠時無呼吸症候群、神経疾患、不妊症、薬の影響、骨盤内臓器や後腹膜・脊椎・脊髄の手術や放射線療法などです。治療可能な勃起不全は心因性の勃起不全、男性ホルモン低下に伴う勃起不全、若年者の外傷後の動脈性の勃起不全で、専門医での治療が必要となります。勃起不全と心血管系疾患(心筋梗塞、狭心症など)はリスク因子を共有しており、勃起不全は冠動脈疾患発症の予知マーカーであると考えられています。
  3. 男性不妊症:男性不妊症とは、不妊の原因が男性にあるもののことを指します。不妊の原因には、男性に原因があるもの、女性に原因があるもの、両者に原因があるものがあり、不妊の40~50%は男性側の原因が関与していると考えられています。男性不妊には、精巣で質のよい精子が産生されない造精機能障害、精子の通り道が閉塞している精路通過障害、射精障害や勃起障害などの性機能障害などがあります。これらのうち男性不妊の原因として最も多いのは、精子が正常につくられない造精機能障害です。最近の研究では、喫煙、加齢、アルコール摂取、心理的ストレス、肥満、高温環境、スマートフォンなどの電磁波なども、精子の質を低下させる要因として報告されています。
  4. 男性型脱毛症:男性型脱毛症(androgenetic alopecia:AGA)は思春期以降に始まり徐々に進行する脱毛症のことです。毛周期を繰り返す過程で成長期が短くなり、休止期にとどまる毛包が多くなり、前頭部や頭頂部の頭髪が軟毛化して細く短くなり、最終的には頭髪が現れなくなる現象です。発症頻度は20代で約10%、30代で20%、40代で30%、50 代以降で40数%と年齢とともに高くなります。男性型脱毛症の発症には遺伝と男性ホルモンが関与します。

陰茎の病気

  1. 亀頭包皮炎:亀頭と包皮が炎症をきたし、痛みとかゆみを伴う病気です。糖尿病(免疫力が低下するため)や尿道炎があると起こりやすく、包皮の内側を清潔にしにくい包茎の患者さんにもしばしば起こります。細菌やカビ(カンジダなど)が原因で発症することが多いです。
  2. 包茎:包茎とは、ペニスの亀頭が薄い皮膚(包皮)で覆われた状態のことをいいます。先端の包皮がせまく亀頭が露出しない真性包茎、普段は亀頭が包皮に覆われているものの勃起時は露出する仮性包茎、真性包茎の状態で無理に包皮を剥いた場合に起きてしまい元に戻らない嵌頓包茎、肥満が原因でお腹のなかにペニスが埋もれてしまう埋没包茎などがあります。
  3. 陰茎がん:陰茎がんは陰茎に生じた悪性腫瘍のことです。男性の悪性腫瘍のなかで0.5%未満と稀ながんで、発症年齢は60歳台に最も多くみられます。最近の研究で、ヒトパピローマウイルスの感染が関与していることも分かってきました。婦人科における子宮頚がんと同様に性行為感染症が何らかの関与をしていることが推測されています。喫煙者の陰茎がんの発症リスクは非喫煙者の2.8~4.5倍高くなるとされています。陰茎がんの病変は、カリフラワー様の腫瘤形成や浅いびらん、もしくは周囲が隆起した深い潰瘍を示すことが多くみられます。湿疹だと思って外用薬をつけてもなかなか改善しない場合には泌尿器科専門医の診察を受けることが必要です。発生部位は半数が亀頭部で、次が包皮です。ついで冠状溝に多く、陰茎体部の皮膚に発生することは比較的稀です。局所の疼痛を感じることは稀で、かなり進行しても疼痛の症状は軽度です。

性感染症

  1. 尿道炎:性行為を介して尿道内に微生物が入り、炎症が起こる病気です。淋菌が原因の淋菌性尿道炎(淋病と呼ばれています)やクラミジアが原因のクラミジア尿道炎が有名です。排尿痛や尿道から膿がでることがあり、クラミジア尿道炎よりも淋菌性尿道炎の方が症状は強いのですが、両方を合併していることが多々あります。中途半端に治療すると、尿道狭窄や前立腺炎の原因となるばかりでなく、男性不妊症の原因となることがあります。