症状と原因疾患
- 夜間におしっこがもれる(夜尿症・小児)夜間のおしっこの量が多い夜間多尿、おしっこを十分にためられない膀胱蓄尿障害、夜間の尿意に対して目が覚めない夜間尿意に対する覚醒障害などが疑われます。夜尿症の子供の5%弱には泌尿器科的疾患、内分泌疾患、脊髄疾患や精神疾患が見つかることがあります。
- 日中のおしっこが近い(昼間頻尿)おしっこの量が多い多尿、おしっこの1回量が少なくなる膀胱機能障害(原因は膀胱の病気、神経系の病気、薬剤性、心因性)、尿道が狭くなる病気(尿道狭窄、前立腺肥大症(男性のみ)や骨盤臓器脱(女性のみ))や尿路感染症などが疑われます。
- おしっこの勢いが悪い(尿勢低下)尿道が狭くなる尿道狭窄、前立腺肥大症(男性のみ)や骨盤臓器脱(女性のみ)、おしっこを十分にためられない膀胱機能障害(膀胱炎、間質性膀胱炎、膀胱がん、膀胱結石、過活動膀胱、神経系の病気、薬剤性、心因性)おっしこを出す力が低下する膀胱機能障害(低活動膀胱、神経系の病気、薬剤性、心因性)などが疑われます。
- 急に強い尿意がある(尿意切迫感)膀胱の刺激や活動が亢進する過活動膀胱、膀胱がん、前立腺肥大症、尿路感染症、尿路結石、神経系の病気、薬剤性、心因性などが疑われます。
- おしっこがもれる(尿失禁)尿失禁は4つに分類され、急に強い尿意がありおしっこがもれる切迫性尿失禁(原因は尿意切迫感を起こす病気と共通)、咳や運動中におしっこがもれる腹圧性尿失禁(原因は骨盤内臓器(膀胱や子宮など)を支える骨盤底筋の緩み、前立腺手術後)、トイレに移動する能力の低下や考える能力の低下(認知症)によりおしっこがもれる機能性尿失禁、複数の種類の尿失禁を持ち合わせた混合性尿失禁があります。
- おしっこに血がまざる(血尿)腎臓の炎症による糸球体腎炎、尿路性器腫瘍(がん)、尿路結石や尿路感染症などがあります。
- おしっこにタンパクがまじる(蛋白尿)尿路感染(膀胱炎など)、腎臓の病気(慢性糸球体腎炎、糖尿病性腎症、高血圧性腎硬化症など)、起立性蛋白尿などが疑われます。
- 睾丸を触れない(小児)睾丸が陰嚢からお腹の方へ移動する移動精巣、睾丸が陰嚢内に収まっていない停留精巣などが疑われます。
- 陰嚢に痛みや腫れがある(小児)陰嚢内に水がたまっている陰嚢水腫、陰のうやそけい菅内の蔓状(つるじょう)の静脈が異常にふくらんだ精索静脈瘤、睾丸がねじれる精巣捻転、睾丸が腫瘍化する精巣腫瘍、腸が陰嚢内に入り込む鼠径ヘルニアの嵌頓、細菌などの微生物が副睾丸(精巣上体)に感染を起こした精巣上体炎などが疑われます。
- ペニスに痛みや腫れがある(小児)細菌などの微生物が包皮に感染を起こした亀頭包皮炎、包皮の癒着や包皮に余裕がないために勃起時に痛みを感じる持続勃起症、包皮を引っ張って無理にペニスの頭を出そうとし、狭い包皮で締め付けられて、亀頭がひどく腫れてしまう嵌頓包茎などが考えられます。
- おしっこをすると痛みがある(小児の排尿痛)細菌やウイルスなどの微生物が尿道や膀胱に感染した尿道炎や膀胱炎などが疑われます。
- かぜの症状(のどの痛み、咳、鼻水など)がないのによく発熱する細菌やウイルスなどの微生物が腎臓に感染を起こした急性腎盂腎炎が疑われます。急性腎盂腎炎を発症する小児の30~50%に膀胱にたまったおしっこが尿管や腎臓に逆流する膀胱尿管逆流が発見されます。時に尿管の下端が瘤状に膨らんだ尿管瘤や椎弓(背骨の後ろ側の部分)の癒合不全(骨がつながっていない状態)により神経が異常をきたし、膀胱や尿道の機能に異常がみられる状態(神経因性膀胱)が発生する二分脊椎が見つかることがあります。
- ペニスが曲がっている、おしっこの出口がペニスの先端ではないペニスの裏側におしっこの出口(外尿道口)がある尿道下裂や陰茎弯曲が疑われます。
- 超音波検査で腎臓が腫れている(水腎症)といわれたおしっこは腎臓で作られ、尿管、膀胱、尿道を通して体外に排泄されますが、これらの経路に何らかの通過障害が生じ、停滞したおしっこのために腎臓が腫れる状態を水腎症といいます。生まれつき腎臓から尿管に移る部分(腎盂尿管移行部)が狭いことによる水腎症が最も多く、ついで尿管から膀胱に移る部分(尿管膀胱移行部)が狭い(この場合は尿管も拡張するので水尿管症あるいは巨大尿管症とよばれる)ことが原因です。